日常の備えクマ類による人身被害を防ぐために

クマによる人身被害を防ぐには「クマを引き寄せない」こと、「クマに出会わない」ことが重要です。万一、出会ってしまった場合の行動も確認しておきましょう。

出典: アフロ

目次

クマの出没を防ぐ

人の生活圏へのクマ類の出没を抑制するためには、餌場としての魅力をなくし、クマ類を餌付かせないことが重要です。誘引物への対策として最も効果的なのは、誘引物を除去することです。除去できない場合は、例えば、クマ類が利用できないよう電気柵で囲うなど、適切に管理することが求められます。

クマ類の誘引物となりうるもの

市街地や集落など、
住宅周辺で誘引物となるもの
  • 果樹(カキ、クリ、クワなど)
  • 公園等の樹木がつける実(スダジイ、アベマキなど)
  • ハチの巣、自家養蜂
  • 生ゴミ(残飯、廃油、食用油)
  • コンポスト
  • ペットフード
  • ぬか漬けなどの発酵食品
  • ペンキなどの塗料

農地周辺で誘引物となるもの
  • 農作物
  • 農作物の放棄残滓(廃果や野菜くずなど)
  • 有機肥料、油かす
  • 養蜂場の巣箱
  • 家畜飼料、家畜(牛舎、豚舎、鶏舎など)
  • 養魚飼料、養殖魚
  • 燃料(ガソリンや混合油など)
見通しの悪い環境に注意
住宅や農地に接する山林や管理不足の耕作放棄地等は、クマ類の移動ルートや隠れる場所になります。このような場所が見通しの悪い環境になっていると、さらにクマ類が利用しやすくなり、人の生活圏へのクマ類の出没を助長します。見通しの悪い環境では突発的な人とクマ類の遭遇も起きやすく、人身被害を誘発することから注意が必要です。
また、河川敷や河畔林、段丘林、島状に分布する山林、都市部に突き出た緑地帯や森林などもクマ類の移動ルートとなります。山林から離れた都市部のような地域でも、これらの環境を利用して人の生活圏に侵入することがあります。

クマに出会わないために

クマ類の生息域となる山林等へ入山する際はもちろん、人の生活圏でもクマ類と遭遇する可能性があります。クマ類による人身被害を回避するためには、クマ類と遭遇した際に適切に行動することが大切です。

自分の存在を知らせる

  • クマ鈴やラジオなど、音の出るものを携帯しましょう
  • 見通しの悪い場所や、沢沿いなどの音が聞き取りにくいところでは、声を出したり手をたたいたりして存在を知らせましょう

クマの生態や行動についてよく知る

  • 各季節のクマの食べ物や生態を知ることで、遭遇を避けられます

目撃・出没情報のあったところには近づかない

  • 自治体の HP やビジターセンターのサイトなどで公開されています

クマの新しい痕跡(糞、食痕、爪痕など)があった際は十分気を付ける

春と秋は事故も多くなる傾向にあるので特に注意

クマに出会ってしまったら

遠くにクマがいることに気がついた場合

落ち着いて静かにその場から立ち去ります。クマが先に人の気配に気づいて隠れる、逃走する場合が多いですが、もし気が付いていないようであれば存在を知らせるため、物音を立てるなど様子を見ながら立ち去りましょう。
急に大声をあげたり、急な動きをしたりするとクマが驚いてどのような行動をするか分からないため、注意しましょう。

近くにクマがいることに気がついた場合

まずは落ち着くことが重要です。時にクマが気づいて向かってくることがあります。
本気で攻撃するのではなく、威嚇突進(ブラフチャージ)といって、すぐ立ち止まっては引き返す行動を見せる場合があります。この場合は、落ち着いてクマとの距離をとることで、やがてクマが立ち去る場合があります。
クマは逃走する対象を追いかける傾向があるので、背中を見せて逃げ出すと攻撃性を高める場合があります。そのため、クマを見ながらゆっくり後退する、静かに語りかけながら後退する、など落ち着いて距離をとるようにします。
慌てて走って逃げてはいけません

至近距離で突発的に遭遇した場合

クマによる直接攻撃など過激な反応が起きる可能性が高くなります。攻撃を回避する完全な対処方法はありません。クマは攻撃的行動として、上腕で引っ掻く、噛み付く、などの行動をとりますが、ツキノワグマでは一撃を与えた後すぐ逃走する場合が多いとされています。顔面・頭部が攻撃されることが多いため、両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつ伏せになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要です。
クマ撃退スプレー(唐辛子成分であるカプサイシンを発射するスプレー)を携行している場合は、クマに向かって噴射することで攻撃を回避できる可能性が高くなります。

親子グマとの遭遇

親子連れのクマと遭遇した場合、母グマは子グマを守ろうと攻撃的行動をとることが多いため、より一層注意が必要です。子グマが単独でいるような場合でも、すぐ近くに母グマがいる可能性が高いため、近づくことはせず、速やかにその場から離れることが必要です。

クマ撃退スプレーによる撃退
カプサイシンは粘膜を刺激するため、クマの目や鼻・のどの粘膜にスプレーが当たるよう、顔に向かって噴射することが重要です。射程距離は5m程度と短い製品が多いため、十分クマを引き付けてから噴射する必要があります。
下草が人の背丈ほどに鬱閉したところなどでは効果的な噴射が難しく、十分な効果を期待できないことがあります。刺激性物質の効果は人も同じなので、風向きによっては噴射した本人へも影響があります。それでもクマからの攻撃を回避するためには、躊躇せずスプレーを噴射することが重要です。
誤射に注意しつつ、いざという時にすぐ使うことができる場所に携帯することが必要になります。咄嗟に使用することは難しいので、事前にトレーニング用スプレーなどで練習することも重要です。

2023年11月28日更新

2020年10月21日公開

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