大雨水害後の感染症予防、5つのポイント

水害では家屋に下水道などの汚水が流れ込むことで、細菌やカビの繁殖などが進み、感染症が発生する危険性もあります。被災後、何に気を付ける必要があるのでしょうか?

出典: BuzzFeed Japan

目次

感染症予防のためには消毒が必要です。しかし、清掃が不十分だと効果を発揮できないため、まずは「清掃」と「乾燥」を優先しましょう。

電気やガスの異常がないかなど安全を確認し、り災証明書のための撮影を終えてから作業に入ります。その際に大切なのは、以下の5つのポイントです。

水害後の感染症予防策(清掃・乾燥)

(1)ドアと窓をあけて、しっかり換気と乾燥

できる限り窓やドアを開けて換気をする

扇風機を使うことも有効

壁や天井まで浸水した場合は、断熱材や石膏ボードの撤去

被災してから数日後に帰宅すると、すでにカビが発生している場合があります。できる限り窓やドアを開けて換気をさせるようにしましょう。

室内の乾燥を促すために扇風機を使うことも有効です。自然乾燥の場合、最低1か月以上を要することも。壁や天井まで浸水した場合は、断熱材や石膏ボードの撤去などが別途必要になります。

(2)汚泥はしっかり取り除く

消毒をする前に、まず汚泥を取り除く必要があります。床や壁、金属や調理台、シンクなどの堅い部分は水と石けん(洗濯石けんや食器用洗剤)で洗い流しましょう。

また、畳やカーペット、布製ソファーなどの洗うことができない家具は撤去しましょう。

消毒をする前に、まず汚泥を取り除く

堅い部分は水と石けん(洗濯石けんや食器用洗剤)で洗い流す

洗うことができない家具は撤去

(3)清掃中のケガ予防に手袋などを着用

傷口は死に至ることもある破傷風などの感染経路になります。肌の露出を防ぎ、丈夫な手袋や底の厚い靴などを着用し、長袖・長ズボンなど肌の露出を避ける服装を心がけましょう。

(4)ほこりを吸わないようにマスクなどを着用

土ほこりが目に入って結膜炎になったり、口から入ってのどや肺に炎症を起こすこともあるので、ゴーグルやマスクで目や口を保護することが重要です。

(5)清掃が終わったらしっかり手洗い

手洗いとともに、シャワーを浴びることも大切です。また、使用した洋服は汚れていない服と区別して洗濯するようにしましょう。

ケガをしてしまった場合は、すぐに流水で洗いながすようにしましょう。深い傷や汚れた傷を負ってしまったり、目に充血が起きたりした場合などは、医師に相談をしましょう。

手洗いとともに、シャワーを浴びる

使用した洋服は汚れていない服と区別して洗濯

これらの清掃・乾燥をしっかり行なった後、消毒へ進みましょう。

消毒はどうする?

消毒に必要なものは「逆性石けん」と「家庭用塩素系漂白剤」そして「消毒用アルコール」です。いずれもドラッグストアで購入できます。

「塩化ベンザルコニウム」が含まれる「逆性石けん」は医療機器の消毒や食中毒対策などに用いられ、「次亜塩素酸ナトリウム」が含まれる「家庭用塩素系漂白剤」は、ノロウイルス対策などにも有効です。アルコールと同様に、日常的に使うこともできます。

いずれも汚れを水などで落としてから消毒をすること、定められた濃度にしてから使うことが大切です。

次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤でも可)

食器類・流し台・浴槽

0.02%に希釈する

  1. 食器用洗剤と水で洗う。
  2. 希釈した消毒液に5分間漬けるか、消毒薬を含ませた布で拭き、その後、水洗い・水拭きする。
  3. よく乾燥させる。
家具類・床

0.1%に希釈する

  1. 泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させる。
  2. 調整した液を浸した布などでよく拭く。
  3. 金属面や木面など色あせが気になる場所は、水で2度拭きする。

消毒用アルコール

食器類・流し台・浴槽

希釈せず、原液のまま使用する

  1. 洗剤と水で洗う。
  2. アルコールを含ませた布で拭く。

※ 70%以上のアルコール濃度のものを使用すること
※ 火気のあるところでは使用しない

家具類・床

希釈せず、原液のまま使用する

  1. 泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させる。
  2. アルコールを含ませた布で拭く。

※ 70%以上のアルコール濃度のものを使用すること
※ 火気のあるところでは使用しない

10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)

食器類・流し台・浴槽

0.1%に希釈する

  1. 泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させる。
  2. 調整した液を浸した布などでよく拭く。
家具類・床

0.1%に希釈する

  1. 泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させる。
  2. 調整した液を浸した布などでよく拭く。

消毒時の注意点は?

汚染の程度がひどい場合や長時間浸水していた場合は、できるだけ次亜塩素酸ナトリウムを使用するようにしましょう。

しかし、塩素系のためほかの消毒液と混ぜないことや、金属やゴムを腐食させたり、色落ちさせたりすることにも注意が必要です。

また、作業をするときは消毒液が目に入らないよう、皮膚や長袖・長ズボン・メガネ・マスク・ゴム手袋などを使い、皮膚や目にかからないように注意しましょう。

消毒後はよく乾燥させるようにしましょう。なお、井戸水や受水槽は清掃後、安全と衛生の点検、確認をしてから使用しましょう。必要に応じて業者に連絡してください。

洋服や布類の消毒は?

浸水した衣類や布類には「熱水消毒」が有効です。80℃の熱水に10分以上漬けたあと洗濯し乾燥させます。

「熱水消毒」は食器類の消毒にも活用できます。衣類などと同様、80度の熱水に10分間漬けるだけですが、汚れを洗い流してから行うようにしましょう。

床下浸水でも…

屋外(床下や庭など)の消毒は基本的に必要ありません。
しかし、家の基礎などに影響がでるおそれがあるため、床下の汚泥や土砂、ごみなどを取り除いたあと、水道水で洗い流ししっかり乾かすようにしましょう。

床下換気口のごみを取り除いて風通しをよくしたあと、雑巾などで水気をなくし扇風機などを用いることが有効です。

また、外壁などについた泥も洗い流しましょう。作業時には5つのポイントの3〜5を忘れないようにしましょう。

出典:日本感染症学会「一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法(暫定版ガイダンス)」厚生労働省「被災した家屋での感染症対策」岡山県「水害にあった住宅でまずやるべきこと」を参考にBuzzFeed Japanが作成

2020年06月24日公開

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