台風高潮
高潮は、海面水位(潮位)が上昇する現象です。
高潮が発生し、一度浸水が生じると低地における浸水被害が急速に広まることになります。ハザードマップで危険と記載がなくても、避難意識を持つことが重要です。
高潮は、海面水位(潮位)が上昇する現象です。
高潮が発生し、一度浸水が生じると低地における浸水被害が急速に広まることになります。ハザードマップで危険と記載がなくても、避難意識を持つことが重要です。
出典: アフロ
台風など強い低気圧が来襲すると、波が高くなると同時に海面の水位も上昇します。これを高潮といいます。
高潮も波の一種ですが、周期が数時間と非常に長いため、波というよりむしろ海の水位が全体的に上昇する現象となります。
海水のボリュームがけた違いに大きいため、一旦浸水が始まると、低地には浸水被害が一気に広がることになります。
高潮の発達には主に二つのメカニズムがあります。
一つは大気圧の低下に伴い、海面が吸い上げられるように上昇する「吸い上げ」と呼ばれる現象です。
大気圧が1hPa低下すると海面は約1cm上昇します。平常時の大気圧は1,013hPa程度であるため、台風の中心気圧が910hPa程度になると、台風の中心では海面が約1m上昇することになります。
二つ目のメカニズムは、湾口から湾奥に向けて強風が吹き続けることにより、湾の奥に海水が吹き寄せられて海水面が上昇する「吹き寄せ」です。
この「吹き寄せ」による海水面の上昇は、風速が速いほど、湾の長さが長いほど、湾の水深が浅いほど大きくなります。
北半球では、台風など熱帯性低気圧の常襲地帯で、南に開いた長い湾、しかも湾内の水深が浅い場合には、高潮の水位上昇量が大きくなります。
二つのメカニズムに加え、砕波する場所より岸側においては、「ウェーブセットアップ」という砕波による海水面の上昇が加わります。
高潮の被害としては、浸水による溺死や、家屋の破損・流出、船舶の損傷・衝突など、さまざまな被害が発生します。
対象 | 被害形態の例 |
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人的被害 | 溺死、漂流物による怪我、漂流中の異物の飲み込み等による病気 等 |
家屋被害 | 家屋の浸水・流出・破壊、浸水による電気製品等の障害 等 |
防災構造物被害 | 洗掘による破壊・倒壊・変異、漂着物の大外力による破損、ブロック堤の沈下・散乱 等 |
交通障害 |
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ライフライン被害 |
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産業被害 |
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森林被害 | 幹折れ・倒伏・土壌洗掘などの物理的被害、浸塩水・埋砂による生理害 |
火事 | 流出家屋台所から出火、漁船機関室からの出火、漏電による発火 ガソリン保管庫への漂流物衝突による出火、スイッチボックスへの衝突による出火 |
石油・毒物の流出 | 船の被災による油の流出、火事の火元および延焼の原因、環境汚染 |
地形変化 | 河口砂州切断、浅瀬の変化、砂浜の変形、河川内堆砂 |
高潮の被害から身を守るには、情報を正しく認識しておくことが重要です。また、これらの情報は、万が一避難指示等によって避難する場合でも当然必要なことですから、自らの生命を守るために常日頃から注意することが重要です。
予め、過去の災害を知り、高潮ハザードマップなどにより、自宅や勤務地周辺の危険性を把握しておきましょう。
また、万が一高潮による浸水被害が発生した場合に、どのような状況が予想されるかについても把握しておきましょう。
いざというときのために、家族で話し合って、避難場所や避難経路を決めておきましょう。
もしもの時に備え、避難場所までの避難経路も、実際に歩いてしっかり確認しておきましょう。
大きな災害が発生した場合、救援活動が行われますが、救援物資が各自に届くまでには2~3日かかるといわれています。
そのため、非常時にそなえて3日分の食料・水を確保しておきたいものです。
ただし、避難持に大きな荷物になりすぎないように、最小限のものを用意しておきましょう。
台風などの状況は刻々と変化します。テレビ、ラジオなどで気象情報に注意し、最新の災害情報の入手に努めましょう。各種の注意報や警報など正しい情報に基づく早めの行動が被害を最小限にくいとめます。
高潮は地震と違って、気象情報や前ぶれの現象などにより、ある程度の予測は可能です。しかし、湾奥など地形特性によって局地的に高くなる高潮までは予測できません。
また、このような局地的な現象はあまり時間を与えてくれませんので、自分自身ですばやく判断して行動する必要を迫られる場合もあります。
出典:国土交通省ホームページ
2019年07月18日公開