日常の備えあかちゃんを守る防災

災害時に自分とわが子を守るため、避難方法や必要な備えについて知っておきましょう。

出典: 「あかちゃんとママを守る防災ノート」(神奈川県立保健福祉大学 吉田穂波)

目次

防災マップを作りましょう

自分の住む地域、自宅周辺で起こりうる災害について知り、どんなことが起こりうるか想像してみましょう。

自治体が配布しているハザードマップを入手しましょう。

災害ごとに、被害の範囲や程度、避難所や災害時拠点病院(災害発生時に傷病者の受入れ拠点となる病院)、避難ルート等がわかります。

国土交通省
「ハザードマップポータルサイト」(外部サイト)

自治体が発行する防災冊子等、地域の防災情報を集めましょう。

災害時の対応は、自治体によって異なります。地域や町内会等で行われる防災訓練にも積極的に参加して、地域の方と顔見知りになっておきましょう。

我が家の防災マップを作りましょう。

自宅周辺の白地図(Googleマップ等を印刷しても良いでしょう)を用意し、自治体が配布しているハザードマップや防災冊子等から得られた防災情報を書き込みます。
防災マップが出来上がったら、小さな子どもを連れて、または妊娠中の身体で、安全に避難できるルートかどうか、実際に歩いて点検しましょう。

防災マップ・チェックポイント!
  • 古い家屋やブロック塀等は、揺れが収まった後にも倒壊の危険が。
  • 窪地や段差も要注意。洪水時には足下が見えなくなることもあります。
  • 狭い路地は、逃げるのが困難に。坂道は、洪水時に水の勢いが増します。
  • 小さな河川でも、雨量や津波の大きさによっては危険になることも。

避難バッグを見直そう

避難中にはぐれてしまうことも想定し、1人1個用意することも大切です。

第1次避難バッグの基本は、「持てる・使える・助かる」

  • 一番大切なものは命です。グッズが充実していると安心ですが、あくまで重量オーバーにならないように......。
  • 非常グッズは必ず1度は使ってみて、すべて"使える"状態にしておきましょう。
  • 最優先は、命を守るために必要な非常グッズ。次に必要なのは生活必需品です。1日の生活を振り返り、備えておきましょう。
  • 避難バッグと合わせてヘルメットを備えておくと安心です。

いったん落ち着いてから取りに戻る、第2次避難バッグ

  • 一時帰宅の安全が確認できてから、持ち出す避難バッグです。備蓄の延長で備えておくこともオススメです。
  • まずはじめに、持ち出し品リストを作り、発災時に必要度が高いのもから優先順位を付けて、第1次避難バッグに備えます。入りきれなかったものを、第2次避難バッグに。

緊急時に命を守るグッズは、常時携帯用避難バッグに。

  • 緊急時の必要度が高く、常時持ち歩けるものは、ポーチ等にまとめ、持ち歩くようにしましょう。
携帯用バッグの中身一例
ホイッスル、保温シート、簡易トイレ、ラジオ、懐中、電灯、非常食(簡単に食べられるもの)、水、パーソナルカード、常用中の薬、ガーゼのほか、〈妊娠週数や乳幼児の年齢によって必要なもの一式〉等

避難バッグの中身とポイント

どの避難バッグ(1次、2次、携帯用)に入れておくかも合わせて確認しておきましょう。

母子健康手帳
健康保険証
常に携帯し、大切なページはクラウドに。
オムツ、お尻ふき お尻ふきは、身体を拭く際にも役立ちます。
授乳用ケープ
ミルクセット
日ごろの授乳方法に合わせて準備しましょう。
スプーン、紙コップ
キッチン用ラップ
コップで少しずつ飲ませる方法もあります。
ガーゼ 歯の汚れを落としたり、顔を拭いたり...乳児のお世話になにかと使えます。
抱っこ紐 避難の際や、避難所で両手が使えるように、抱っこ紐が便利です。
非常食、離乳食 母乳やミルクで代用したり、大人の食事を取り分けることもできます。市販の離乳食を備えておくと安心です。
ビタミン剤 災害時はビタミン類が不足し、口内炎になりやすいので、サプリメントを用意しておくとよいでしょう。
着替え、靴、防寒具 抱っこして避難する際にも、歩けるようになった子どもには靴をはかせておくとよいでしょう。
生理用品、ビデ 使い慣れた生理ナプキンや、生理用ショーツはあると便利です。
マスク 避難所内では、感染予防としてマスクを着用しましょう。
おもちゃ 使い慣れたおもちゃがあることで、心のケアにもつながります。

発災時に必要な行動

特に乳幼児や妊産婦は、避難に時間と支援を要することが多いため、今のうちにシミュレーションしておくことが大切です

洪水や土砂崩れ

避難指示や高齢者等避難が出たら、指示に従い、避難します。

地震

発災前、発災時

できるだけ安全な場所に移動し、赤ちゃんと自分を守る姿勢をとって揺れがおさまるのを待ちましょう。幼児は頭をかばうように抱きかかえてあげましょう。

揺れが収まった後

  • 割れたガラスや食器等で足をケガしないように、靴かスリッパをはきます。
  • 家の中にいる家族の安否や、被害状況を確認。
  • ラジオ等で正しい情報を得ながら、避難バッグ等を出し、必要があれば避難準備を。

※ヘルメットがない場合には、バッグ等を使い、頭上からの落下物から頭を守るようにします。

妊娠中・後期
お腹で足元が見えず小さな段差等に気が付かないこともあります。必ず誰かと一緒に避難しましょう。
乳児
抱っこ紐やスリング等を使って乳児を抱っこして避難します。
幼児
子ども用リュックの中に、パーソナルカードを入れておきましょう。必ず靴を履かせましょう。

避難生活で必要な行動

避難生活は、自宅が無事であれば、基本的に自宅で過ごします。被災すると行政も混乱します。支援情報は自分から取りにいく姿勢が大切です。

食事について

母乳 災害時には母乳が最適な栄養源となります。一時的に出にくくなっていても、継続させることが大切です。リラックスして授乳するようにしましょう。
粉ミルク 市販の水を使う際には、必ず軟水を使います。哺乳瓶がない場合には、紙コップやスプーンで少しずつ飲ませるようにします。
離乳食 離乳食がない場合、離乳を始めたばかりであれば母乳や粉ミルクで栄養をまかなうようにします。
妊産婦の食事 非常用の食事は、塩分が高めです。選択できるときは、塩分が少ないものを選ぶようにしましょう。
アレルギー除去食 自助としてもしっかり備えておくことが大切です。避難所で除去食の対応ができない場合にも、使用した食品を開示してもらう等のサポートをお願いしましょう。

病気の予防について

妊娠合併症 災害時はストレスにより、ふだんよりも血圧が上昇し、妊娠高血圧症候群になりやすいため、寒さをさけ、十分な水分摂取をして、十分に足を伸ばして横になれる場所を確保してもらうことも重要です。また血栓症(エコノミークラス症候群)もおこしやすいため、こまめに水分をとり体を動かすことも大切です。
栄養不足 十分な栄養がとれないため、口内炎などにもなりやすくなります。サプリメントでの補給や口内の清潔を保つことが大切です。

心のケアについて

妊娠期・産褥期 妊娠期・出産・産後は平時でも精神的な変化の大きい時期だと言えます。その上に被災のショックが重なることで、強い恐怖感や落ち込み、うつ症状を伴うこともあります。子どもを励まそうとするあまり、自分の気持ちを押し込めてしまわず、信頼できる人と話をできる機会を作りましょう。
乳幼児 赤ちゃん返りや夜泣き、乱暴な言動等、災害時に見られる子どもの"異常な行動"は、"非常時における正常な行動"です。大きく受け止め、しっかりと抱きしめてあげてください。
同じ話を何度も繰り返したり、災害を再現する"地震ごっこ""津波ごっこ"の遊びをするのは、子どもが子どもなりに災害を受け止め、体験を消化するために必要なプロセスだと言われています。温かく見守りましょう。また、子どもも親を気遣います。平気そうに見える子どもほど、ケアが大切です。

必要な備えについて考えよう

環境の悪化や、食事や水分、衛生面の確保が生命の維持に大きな影響を与えます。

妊娠期の心身の特徴と備え

日ごろから体調の変化に気をつけましょう。

  • つわり症状や食事の嗜好の変化がみられる。
  • 虫歯や歯肉炎などにかかりやすくなる。
  • 疲れやすく、長時間立ったり、重いものを持つことが難しくなる。
  • 食事の塩分を控え、水分や栄養・食物繊維を十分にとることも大切。
  • こまめに体を動かすことと、適度な休息の両方が重要。
  • お腹が大きくなることで、バランスが変化し、転倒しやすいので注意を。
  • 避難時にサポートしてくれる人が必要。

産褥期の心身の特徴

  • 悪露(おろ)が続いたり、腰痛や疲労感がみられる。
  • 乳腺炎などの乳房のトラブルや尿漏れ・痔などの排泄トラブルが起こることも。
  • 身体を回復させる時期で、十分な休養が必要。
  • 不安になったり、うつ症状がみられたりすることがある。

乳児期の心身の特徴

モノを揃えるだけが備えではありません。予防接種を受けておくことも防災の1つ。

  • 脱水症状を起こしやすいため、十分な水分補給を。尿量にも注意。
  • 熱中症や低体温になりやすく、衣類や室温などでの調整が必要。
  • 免疫や抵抗力が弱いため、感染症に注意する。
  • 皮膚の清潔・保湿を保つことが重要。
  • 体調が急変しやすい。
  • 言葉で意思を伝えることができないので、泣き方や表情、機嫌に注意。

幼児期の心身の特徴

身体や運動機能の発達に応じた、遊びが必要です。

  • 咀嚼(そしゃく)や消化機能、排尿の調節機能は未熟なので、発達段階に応じた食事の内容や量などの配慮が必要。
  • 乳歯はむし歯になりやすいため、口内を清潔に保つことが大切。
  • 言葉で表現できない分、不安や恐怖が生理的な反応になって現れることも。

出典:「あかちゃんとママを守る防災ノート」(神奈川県立保健福祉大学 吉田穂波)をもとにYahoo!天気・災害にて作成

2020年03月09日公開

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防災手帳についての免責事項

災害発生時には政府機関や各自治体の発表する情報にも注意を払い、必要に応じてすみやかに避難等を行ってください。必ず、他の情報と併せて状況を確認するようにお願いいたします。

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